元花組、真瀬はるかが「キャッツ」グリドルボーン役で劇団四季デビュー!
劇団四季のミュージカル「キャッツ」(浅利慶太演出)は、初演から34年たった現在、大阪四季劇場でロングラン上演中。大阪公演は、4度目で昨年7月から開幕、すでに一年を経過しているが、ちょうど一年目となった先月7日から、シャム猫のグリドルボーン役で元花組の真瀬はるかが四季デビューを果たした。今回はこの模様をお伝えしよう。
タカラジェンヌと劇団四季といえば忘れてはならないのが越路吹雪。1970年代の初め頃、劇団四季の看板スターといえば越路吹雪だった。浅利氏の演出によるドラマチックリサイタルが縁となって浅利氏演出のブロードウェーミュージカル「アプローズ」(72年)に出演、その後「メイム」(73年)「日曜はダメよ」(74年)そして「リトル・ナイト・ミュージック」(79年)と4本のミュージカルに出演、ミュージカル草創期の劇団四季に大きな貢献を果たした。
その後も室町あかねが「コーラスライン」初演、伊吹あいが「キャッツ」初演、優ひかりが「アプローズ」全国ツアー、山田千春(沢千春)が「ウエストサイド物語」「日曜はダメよ」などに出演。草笛雅子が「美女と野獣」千紘れいかが「南十字星」「ライオン・キング」出雲綾の「マンマ・ミーア!」「赤毛のアン」などなど。ちょっと思いついただけでも数多くのタカラジェンヌが退団後に四季の舞台で活躍している。たいていはオーディションを受けて、シーズンメンバーのような形での参加だが、なかには劇団員として在籍していた人たちもいる。
今回、「キャッツ」のグリドルボーン役で四季デビューした真瀬は、宝塚歌劇団92期生の優等生。92期といえば2006年初舞台。真風涼帆、彩凪翔、鳳月杏らと同期生で、退団者の中には蘭乃はなもいる。花組在籍中は実力派の若手男役として活躍。「ファントム」新人公演でのキャリエール役(本役・壮一帆)が印象深かったが、そのあとの「復活」東京公演(2012年)で退団している。退団後は「オーシャンズ11」「エリザベート」(いずれも東宝版)などに出演、歌手活動も含めて幅広く活躍している。
昨年「キャッツ」大阪公演のために行われたオーディションに合格、一年間の準備期間を経て今年7月からデビューとなった。グリドルボーンは初演以来、保坂知寿ら四季でも実力派のメンバーが演じてきた大役で、基本的にはジェリーロラムとして登場、二幕の芝居猫ガスがグロールタイガーを演じたときに悪女猫グリドルボーンとして相手役を務める。ソロもあり女性では「メモリー」を歌う娼婦猫グリザベラに次ぐメーンキャストだ。
真瀬は、思いやりがあり大人の雰囲気を持つ茶色の雌猫ジェリーロラムとキュートでセクシーなシャム猫グリドルボーンの二役を持ち味のシャープなダンスに加えてソロも男役だったとは思えない澄み切った歌声でのびやかに歌い込んで鮮やかに演じ分け、早くも四季のメンバーにすっかりなじんでいるようだった。
初演以来34年、数えきれないくらい観劇している四季の「キャッツ」だが、約一年ぶりに再見、ロングランでキャストは代われども、作品としてのクオリティーが落ちていないばかりか、全員がさらなる緊張感をもって演じていて、四季がこの演目をいかに大事にしているかということがよく理解できた。ラムタムタガーの田邊真也はもちろんのこと、マジック猫ミストフェリーズに扮した一色龍次郎の軽やかな動きなど、メンバー全員のレベルの高さはさすがだった。この日のグリザベラは木村智秋、心のこもった「メモリー」だった。
真瀬のグリドルボーンは、8月後半にいったん休みをはさみ9月から再登場する予定という。詳しくは四季ホームページで。公演は来年5月6日まで。
©宝塚歌劇支局プラス8月5日記 薮下哲司
毎日文化センターに元雪組娘役、桃花ひなさんが退団後初登場!
〇…毎日文化センター(大阪)の「薮さんの宝塚歌劇講座~花の道伝説~」8月23日午後1時半開講の特別ゲストに、7月23日に「幕末太陽伝」で退団したばかりの元雪組娘役スター、桃花ひなさんが登場します。「ブラック・ジャック」のピノコ役が印象的な実力派、桃花さんに宝塚への思いをたっぷりと語ってもらいます。文化センターでは当日限りの特別受講生(3780円税込)を受け付けます。受講希望の方は毎日文化センター☎06(6346)8700までお申し込みください。先着30人で締め切ります。