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108期、雅耀初主演、月組「Eternal Voice消え残る想い」新人公演

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108期、雅耀初主演、月組「Eternal Voice消え残る想い」新人公演

 

月組トップコンビ、月城かなと、海乃美月のサヨナラ公演、ミュージカル・ロマン「Eternal Voice消え残る想い」(正塚晴彦作、演出)新人公演(菅谷元担当)が13日、東京宝塚劇場で行われ、ライブ配信された。主役コンビを演じたのは入団3年目108期生、雅耀(みやび・よう)と2年目の乃々れいあ(109期生)のフレッシュコンビ。新世代の胎動を感じさせた公演となった。

 

Eternal―」は、19世紀中ごろのイギリス、ある特殊な能力を持つ二人の男女が、16世紀スコットランドの悲劇の女王、メアリー・スチュアートの首飾りを手にしたことをきっかけにヴィクトリア女王暗殺計画の陰謀を知ることになり、協力して阻止、女王から叙勲されるまでを描いたファンタジーロマン。本公演を見た時にも思ったが、この話のどこが月城、海乃という演技巧者のためのラストステージにふさわしいのか新人公演を見ても全く理解ができなかった。アンソニー・バビントンの末裔という霊媒師姉弟の存在がアクセントにはなっているが、主役二人には絡まないのでストーリーに膨らみがないのがいかにも弱い

 

新人公演はこの日の東京宝塚劇場一回のみ。月城が演じた主役のユリウスに起用された雅は入団3年目の108期生。コロナ禍真っただ中に入団したメンバーで近来になく早い抜擢となったが、すっきりとしたさわやか系の二枚目で、舞台度胸も満点。低音のセリフもしっかり男役していて、早くも出来上がっている感じ。歌はやや不安定なところもあったがこれは発展途上ということでこれからいくらでも補正できそう。月組に久々に出現した新たな新世代スターと言えそうだ。

 

ヒロインのアデーラに扮した乃々はさらに一期下の109期生。娘役の早い抜擢は珍しくないが2での新人公演ヒロインは宙組時代の星風まどかもそうだったように思う。乃々登場シーンではやや緊張感が見られたものの、雅同様舞台度胸が備わっていて、二年目とは思えないしっかりとした演技。ヒロインとしての華やかさも十分、弱点は歌唱力かと思うが、雅とのセリフの掛け合いなどは初ヒロインとは思えない自然体だった。

 

鳳月杏が演じているヴィクターは七城雅(105)。風間柚乃が演じているダシルを一輝翔琉(107礼華はるが演じているカイを翔ゆり愛(109)という配役。なかでは新人公演主役経験のある七城がさすがの落ち着きで存在感を示した。一輝には改めてスター性を感じさせたがいかんせん役が面白くない。そんななかでカイ役の翔がフレッシュでなかなかいい味を見せていた。

 

彩みちるが怪演しているエゼキエル役はきよら羽龍(104)。弟のマクシマスは天つ風朱李107。きよらは宙組組替えが白紙になり、月組新人公演の長の期としての出演ということになったが、本公演の彩同様、憑き物がついたような入魂の演技で舞台を盛り上げた。彩海せらが演じている弟役の天つ風も強い姉の庇護のもとで言いなりに動く弱い弟といった感じをうまく出していた。

 

天紫珠李のエイデンをバウヒロインが決まった106期の花妃舞音(はなひめ・まのん)が扮して存在感を示し、カトリック教会のボディガード、セバスチャン役(佳城葵)に扮した涼城蘭花(106)の不気味な雰囲気づくりもユニークだった。

 

雅、乃々という超若手を中心に周囲が彼らを盛り立てようと懸命にサポートする姿が見ていて気持ちよく、新人公演らしい新人公演を見たという清々しい印象を持てた公演だった。

 

©宝塚歌劇支局プラス613日記 薮下哲司

 


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